2014年10月25日

関節リウマチの現状と治療方針

はじめに

院長松原三郎2001年に、リウマチ性疾患の専門医院として松原リウマチ科整形外科を開院しました。以来、熊本県の北は八女市、南は泉町まで、幅広い範囲から患者さんを受け入れ、科学的な根拠に基づいたリウマチ治療を提供しています。また、エキスパートナース14名、さらには、リハビリスタッフ14名がリウマチ専門医と協力して様々なリウマチ性疾患に取り組んでいます。

そのような中、関節リウマチの治療も生物学的製剤の登場により寛解、社会復帰を目標とした治療がおこなえるようになってきました。そこで本稿では、当院における関節リウマチの動向、治療方針について紹介したいと思います。

関節リウマチ患者数と特徴

当院で関節リウマチのために投薬を受けている患者さんは、2013年度の統計で年間に1,437名でした。

また、完全寛解に達し、投薬を中止し、年1回のフォローアップをおこなっている患者さんも200~ 300名程度いらっしゃいます。当院では軽症から重症までの関節リウマチ患者さんを診療していますが、最大の特徴は、いかなる病態であっても機能回復を目指した治療を提供している点になります。

また、肺疾患など合併されている方も多く、そのため有床診療所を続けています。逆にいえば、そういった患者さんを治療するのがリウマチ専門医の役割でもあります。

関節リウマチの診断

関節リウマチの診断は、間診、視診、触診が基本です。また、当院ではDAS28による臨床的評価を積極的に取り入れているため、そういった意味でもこれらの診断は重要になります。

その後、関節機能を評価し、関節外症状の確認、採血検査、X線検査、さらには関節超音波検査も取り入れています。ここまではルーチンでおこなう検査になります。X線検査、超音波検査で滑膜炎が確認されればMRI検査にて骨びらんの有無を確認することになります。

関節リウマチの治療方針

関節リウマチの治療は、基本的にはガイドラインに則しておこないます。しかし、骨びらんを有さない、stage Iであればメトトレキサート(MTX)ではなくそれ以外のDMARDsを投与するのが当院の特徴です。その理由は、MTX以外のDMARDsの方がdrllg holidayが作りやすいという点です。

骨びらんを有さない軽症例では、MTX以外のDMARDsで寛解を達成できれば長期的な薬剤中止が期待できるのです。ただ、このようなStage Iの患者さんは全体の20%程度に過ぎません。

明らかに骨びらんを有する場合には、rapid progressでありMTXを中心とした標準治療をおこなっています。

MTXの使い方

骨びらんを有する場合には、MTXを使用しますが、MTXが使用できない患者さんもいらっしゃいます。一つは肺合併症を有する場合です。使えない訳ではありませんが、使いづらくなります。もう一つはCKD stage Ⅳ 以上の腎障害を有する場合には使用できません。このような患者さんには生物学的製剤あるいは他のDMARDsまたはタクロリムスを考慮します。

生物学的製剤の使い方

MTXを12mg/週まで使用しても効果が不十分な場合に、生物学的製剤を考慮します。生物学的製剤の選択は、皮下注を基本とし、費用対効果を考慮して、アクテムラ(一般名:トシリズマブ)またはエタネルセプトを使用することが多くなります。皮膚症状の出やすい患者さん、ご高齢で自己注射になじまない患者さんには、他のTNF阻害薬による点滴治療とします。

一方、TNF阻害薬と抗IL-6受容体抗体の使い分けは、議論の余地のあるところですが、個人的にはアクテムラは効果が強い生物学的製剤だと考えています。

したがって、当院としてはCRP(IL 6依存性)が高値で感染症のリスクが低い患者さんにはアクテムラを選択します。また、TNF阻害薬を投与していて、DAS28で中等度疾患活動性以上と2回評価された場合には、早期にアクテムラにスイッチします。早期にスイッチして早期に寛解を得ることができれば長期的に寛解が維持されることが多い傾向にあります。アクテムラにスイッチする場合には、まずは点滴静注でしつかり抑えてから皮下注製剤へ変更する方がよいと考えています。

ただ、アクテムラの点滴静注では、CRPが完全に抑制されるため、感染症がマスクされることに注意する必要があります。しかし、皮下注製剤では、感染症があればCRPも変動しますので、その問題も解決されると思います。

いずれにしても生物学的製剤を使用する場合には、感染症は起こるものと常に意識しておく必要があります。また、感染症対策マニュアルを患者さんへ配布し、日常的な注意も促しています。このような治療方針で、当院ではTreat to Targetにおける低疾患活動性達成率と寛解達成率あわせて90%以上となっています。

地域における専門クリニック

先述したように当院では、年間に1,500名程度の患者さんの診療をおこなっており、ほぼ飽和状態といえます。したがつて、寛解に達した患者さんは、紹介元施設へお戻りいただいています。また、近隣の整形外科の診療所などに、受け皿となって頂けるような働きかけもおこなっています。その場合、治療方針や評価といった面を共通にしておく必要がありますので、勉強会などを開催して連携を深めるよう努力しています。また、KOSG(熊本整形外科疾患調査グループ)に参加して、地域的な関節リウマチの治療方針を統一しようとする取り組みもおこなっています。

一方、T to Tでは社会復帰を目指す必要があります。家庭復帰、コミュニティ復帰までは可能ですが、職場復帰は難しいのが現状です。一旦低下した機能はなかなか元に戻すことはできません。したがって、寛解達成後のリハビリテーションも重要であり、さらなる取り組みが必要だと考えています。

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